1638年、島原の乱。
切支丹弾圧への最後の抵抗―――。
3万7千の農民たちに対し、徳川幕府は12万に及ぶ軍勢を動かした。天草四郎の切支丹伴天連の妖術への恐れが生んだ苛烈なまでの反応であった。100日に及ぶ篭城の末、一揆勢は一人残らず討たれ、すべての首が切り落とされた。
――――そこに神はいなかった。
 十余年後、天下は3代将軍徳川家光の治世、その安泰の世に、徳川頼宣は野心と不満を抱えていた。南海の竜と呼ばれる気性の激しさで、次期将軍の座を狙いつつもそれが難しいことも熟知していた。
 ある鷹狩りの日に、頼宣の前に天草四郎が姿を現す。島原の乱で死んだはずの四郎は、頼宣に天下を取らせると言う。半信半疑の頼宣に四郎はその秘術"魔界転生"を見せる。火水風土の四元素の杯に守られた聖壇、その上に胸に逆十字の痣を持つ忍体となった裸身の女が拘束されている。四郎の祈祷とともに女の体の中心線に赤い筋が走り、裂ける。そこからあらわれたのは、柳生流の豪傑・荒木又右衛門!魔界衆となり、いま一度この世に蘇ったのだ。四郎につき従うクララお品は言う「無念、ただ無念の思いがこの世に転生するよすがなのです」。更なる魔界衆を作るという計画のために紀州藩に集められる女たちの中に柳生衆のおひろ・お雛がいた。紀州藩の動向をいぶかしむ柳生衆は密かに探りを入れ、その恐るべき計画を知ってしまう。そして、柳生十兵衛が動き出す!おひろ・お雛の救出に向かう彼を待ち受ける、蘇った剣豪荒木又右衛門、宝蔵院胤舜、宮本武蔵そして、柳生但馬守。十兵衛を魔界衆にするべく暗躍する四郎。そして、柳生十兵衛は剣豪たちと斬り結ぶ地獄巡りの中、己の剣に目覚めていく・・・!!

1950年9月18日生まれ。福岡県出身。
日大芸術学部放送学科卒業後、フリーのスタッフとして、76年長谷川和彦監督の「青春の殺人者」に参加。その後、助監督として、ベテランからインディペンデントまで幅広い監督たちをサポート。90年の「マリアの胃袋」で監督デビュー。続く、92年の「ザ・中学教師」では、ヨコハマ映画祭の日本映画ベスト10の第7位に選出され、この年の監督協会新人賞を受賞した。02年、「笑う蛙」に続き、桐野夏生のベストセラー小説「OUT」を映画化。原田美枝子、倍賞美津子、室井滋、西山尚美といった女優陣たちが演じるエネルギッシュなヒロインたちの活躍を一級のエンターテインメントに仕上げてみせた。そして、満を持して初の時代劇挑戦となる本作の現場に入った!



1922年1月4日生まれ。兵庫県出身。
学生時代から数々の小説を雑誌社に投稿し、「映画朝日」に投稿した時のコードネーム「風」からペンネームを風太郎とする。東京医科大学在学中に探偵小説専門誌「宝石」で「達磨峠の事件」が入選、翌年、探偵作家として本格的に文壇デビューを果たした。大学卒業後も意欲的に作家活動を続け、53年に、啓子夫人と結婚。58年に発表した「甲賀忍法帖」で新しい時代小説の手法を確立。以後、「くノ一忍法帖」「風来忍法帖」「伊賀忍法帖」など次々と新作を上梓し、一大忍法ブームを巻き起こす。大阪新聞で64年12月〜66年2月まで「おぼろ忍法帖」を連載、翌年には単行本化され、81年に映画化される際、原作者の意向でタイトルを「魔界転生」に改題した。著者自身が、長編小説の中で最も気に入っていたというこの作品は大ヒットとなった。71年、大学時代の日記を綴った「戦中派不戦日記」で新たなるジャンルを構築する。73年、明治期の奉行所の残党を描いた「警視庁草紙」を連載、以降、「幻燈辻馬車」「地の果ての獄」など独自の作品世界を展開する明治伝奇小説を書きはじめる。86年には、作家、政治家など900人以上の臨終の記録を書き綴ったノンフィクション「人間臨終図巻」が話題となる。93年には、自らの生き方を綴ったエッセイ集「死言状」を刊行(角川書店刊)。97年、第45回菊池寛賞を受賞。00年第4回日本ミステリー文学大賞を受賞。01年7月28日、死去。奇しくも、敬愛した作家・江戸川乱歩と同じ命日となった。02年11月以降、「魔界転生」、「伊賀忍法帖」、「甲賀忍法帖」が角川書店より復刊される。

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1958年神奈川県生まれ。人形師、着物、舞台衣装デザイナー。3歳の頃より人形を作り始め、19歳で日本創作人形公募展で優秀賞を受賞し、本格的に人形作家の道に入る。81年に自らも演じる人形舞を創設し、86年シドニー国際ビエンナーレ展に招待される。98年篠田正浩監督の映画「源氏物語より 浮舟」で、登場人物全てを人形制作、衣裳デザインする。本作では、天草四郎、クララお品の衣裳デザインをてがけた。



93年、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品作品、故相米慎二監督の「お引越し」が毎日映画コンクール優秀賞ほかを受賞し、脚光を浴びる。02年「コンセント」では中原俊監督と組み、田口ランディの原作を見事に脚本化してみせた。03年には本作と共に「GO」の金城一紀原作の「花」の公開が控えている。
 
Copyright 2003「魔界転生」製作委員会


1979年5月7日生まれ。神奈川県出身。
「池袋ウエストゲートパーク」(00年TBS系)「ストロベリー・オンザ・ショートケーキ」(01年TBS系)「ロングラブレター〜漂流教室」(02年CX系)と次々に話題作に出演、その存在感が若者の支持を得る。本作が映画出演では初の時代劇となり、死してなお蘇る天草四郎の妖しく美しい魅力を見せつける。


1960年12月10日生まれ。東京都出身。
80年に「続・続 事件」(NHK)でデビュー。81年には「青春の門」(監督:深作欣ニ)で見せた鮮烈な演技で、ブルーリボン賞新人賞を受賞。本作では四郎・魔界衆と敵対し、壮絶な戦いを繰り広げる柳生十兵衛を演じる。


1978年6月17日生まれ。千葉県出身。
95年、映画「BAD GUY BEACH」(監督:あいかわ翔)でデビュー。98年には「カンゾー先生」(監督:今村昌平)でヒロインに抜擢され、数々の賞を受賞。本作では四郎と運命を共にするクララお品を妖しく演じ、今までとは全く違う麻生久美子を披露する。


1975年12月11日生まれ。大阪府出身。
02年「ドレミソラ」(TBS)でドラマ初主演。雑誌・テレビ・CMでその透明感のある魅力を発揮する一方、集英社「BAILA」で執筆連載・幻冬舎Webマガジンで「友香の読書日記」を連載、その多才な一面を覗かせている。本作では、柳生十兵衛を慕う柳生衆の一人として宮本武蔵と対峙する!


1963年4月27日生まれ。奈良県出身。
主な出演作として「226」(88年/監督:五社英雄)「帝都大戦」(89年/監督:一瀬隆重)「王手」(91年/監督:阪本順治)「外科室」(92年/監督:坂東玉三郎)「BROTHER」(00年/監督:北野武)と多様な出演歴を持つ映画俳優。本作では、魔界に転生し、初めて柳生十兵衛と戦う荒木又右衛門を熱演。その転生シーンは見逃せない。


1982年9月28日生まれ。大阪府出身。
テレビ、CMと活躍。CMでは資生堂「アネッサ」がこの夏話題になった。11月に10代の集大成の写真集・ビデオ・DVDが発売された。映画は97年「ときめきメモリアル」(監督:菅原浩志)のヒロイン役で映画デビュー。本作では柳生十兵衛と共に旅をする柳生衆の少女を演じ、馬や殺陣のシーンにも果敢に挑戦している。


1965年12月3日生まれ。兵庫県出身。
劇団☆新感線の看板役者として絶大なる人気を誇り、舞台のみならずテレビ、CM、ラジオ、映画等、様々な分野で才能を発揮している。本作では魔界衆となる槍の名人・宝蔵院胤舜に扮し、柳生十兵衛との死闘を演じる。


1969年5月20日生まれ。東京都出身。
「男闘呼組」解散後は高橋一也から高橋和也へと改名し、俳優・ミュージシャンとしてソロ活動を始める。02年には「突入せよ!「あさま山荘」事件」(監督:原田眞人)「Hush!」(監督:橋口亮輔)に出演。本作では、十兵衛と共に旅をする<柳生衆>のメンバーとして最後まで戦う役どころを担っている。


1945年7月6日生まれ。東京都出身。
「パリの中国人」(74年)の主役を演じ、俳優業の足掛かり得る。「瀬戸内ムーンライトセレナーデ」(96年/監督:篠田正浩)「東京夜曲」(97年/監督:市川準)で日本アカデミー賞主演男優賞を受賞。重厚な演技者としての位置を確保している。本作では、天下の剣豪・宮本武蔵を演じ、映画に更なる厚みを持たせている。


1965年7月21日生まれ。神奈川県出身。
異色作から話題作まで幅広く活躍し、様々な監督に呼ばれるその独特の存在感が光る。「ウォーターボーイズ」(01年/監督:矢口史靖)「宣戦布告」(02年/監督:石侍露堂)「目下の恋人」(02年/監督:辻仁成)。03年には「ALIVE」(監督:北村龍平)の公開が控えている。本作では魔界衆を利用し、己の欲望のみに生きる徳川頼宣を演じる。


1938年4月23日生まれ。東京都出身。
歌舞伎俳優三世中村時蔵の五男に生まれ、5歳で歌舞伎座初舞台。66年「湖(うみ)の琴」(監督:田坂具隆)でブルーリボン賞助演男優賞をはじめ、数々の賞を受賞。本作では柳生十兵衛の父親、柳生但馬守を重厚に演じている。  
 

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